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ゆーきまたたき

オフィス写真部 佑木瞬の写日記

空のむこう


土方さんのこと。


2009年7月20日、おそらく佑木瞬の写真人生に最も影響を与えてくれた土方源七さんが遠い空に、旅立ちました。



いろんな人に写真を教えてもらって私は大きくなってきたけど、お世話になった人はたくさんいるけど、たぶん師匠と呼んでもいいなと思ってるのはこの人しかいない。いないだろうなぁ。




初めて一眼レフを覗いた時の衝撃は忘れられない。庭で、無数に咲いてるピンクのつつじの花をみただけなのに。
小学4年のあの瞬間から私は写真に落ちたんだと思う。


その景色を見せてくれたのが土方さんだった。土方さんは親戚のおじさんで、普通にしてたらよく居そうな気のいいおじさんなんだけど車には機材がごっそり積んであって親戚の集合写真なんかも器用に撮影してた。『あの人はプロに近いアマチュアだから。』と誰かが言っていて当時10歳の自分には言葉の意味はちゃんと理解できていなかったけどとにかく凄腕らしいというニュアンスは伝わった。


それで、おそるおそる覗いたつつじ。この上なく鮮やかだった。
『こうすると背景がボケるんだよ。』土方さんは夢中な私に得意げに言った。その黒くてゴツいメカの中のいろいろなボタンでそんなことが出来るのかと、こんな面白いものがあるんだと。


欲しくてたまらなかった。





カメラを選んでくれたのも土方さんで。

『せっかく買うならちゃんとしたのじゃなきゃいけない』と誰よりも真剣だった。決して子供扱いしていなかった。後々必要になるだろうからとオートからマニュアルまで対応していて、標準と望遠ズームのレンズ二本がついたペンタックスに決まった。

住んでるところは離れていたから私のと、自分用に同じカメラの説明書まで取り寄せてわからないところは細かく説明してくれる熱心さだった。



高校に進学してからは同じ函館市内に住んでたから撮影にも連れていってもらった。 後に写真の専門学校に進学するまで、私と写真の歩みをずっと、見てくれていた。



写真に出会ってから今まで、土方さんは一度も私のことを否定しなかった。撮ってるときも撮れないときもずっと見てて応援してくれてた。そういえば私の人物写真がいいってひたすらに評価してくれたのも土方さんが最初だった。


専門学校とか、写真一本 の進路に進むときは周りから心配も反対もされたけど土方さんは『自分は時代が時代で、働くしかなかったからあんたは好きなことやりなさい。』って真っ直ぐに言ってくれた。その言葉と絶対的な存在にどれだけ救われたかな。
写真集を出すときは『プロだね。抜かれちゃったな』と笑ってたけどいまもそんなことは思ったこと、ないです。土方さんの写真は私には撮れなくて。見上げていて。教えてもらったこと励ましてもらったことは底知れない。




もっともっと、いまのあたしの写真を見てほしかった。個展には来てほしかった。けど、3月の写真展の時には病院にお見舞いに行けたから納得は、出来てるかな。何度も枕元で名前を言ったらぱっと眼を見開いて頷いてくれた。言葉にしてなくても絶対に伝わったことはわかった。


置いてきたDMに書いた二言。
『私はいまも写真を撮ってます。ありがとうございます。』




土方さん、私はあなたのおかげで頑張れてます。


次はさよならを伝えに行かなきゃ。函館での二回目の個展、迫ってます。





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佑木瞬